再発・転移に対して

「再発」とは手術時に目視できない、小さながん細胞が残り再び増殖することや、化学療法や放射線治療で一旦縮小したがん細胞が再び大きくなり、新たながん細胞が出現することをいいます。

「転移」とはがん細胞が最初に出現した場所から、血液やリンパの流れで運ばれ他の臓器や器官に移動し、増殖することを指します。リンパ節に転移し、他の臓器、脳、骨など血液の流れが豊富な場所に、転移することが比較的多いです。

がんは日本人の国民病

日本人の死亡原因、第1位に君臨する「がん」。がんは長年の生活習慣の積み重ね、老化、免疫力の低下などによって引き起こされる病気であり、日本は世界有数のがん大国です。

人口動態統計、死因順位男女計

引用元情報:
厚生労働省 平成28年度人口動態統計表、第6表 性別にみた死因順位より

がんは早期に発見し、早期に治療を受ければ根治の可能性は高くなります。ただしがんという病気はとても再発しやすいため、再発・転移を防ぐ治療が非常に重要となります。

正常細胞とがん細胞

細胞は体を構成する基本単位で、人間の体は60兆個もの細胞で作られています。細胞一つひとつには遺伝子情報が納められた核があり細胞は定期的に分裂し自己複製を行って情報を引き継いでいきます。何らかの原因で細胞が変異し、圧倒的な速度(G0期)で増殖して周囲の組織に悪影響を及ぼすようになったものが、がん細胞です。普通の細胞は分化してしっかりとした核があるのに比べ、がん細胞は未分化で大きな核を持っているのが特徴です。DNAは日々損傷を受けるため、正常細胞はその損傷を修復していきますが損傷が蓄積して対応しきれない場合、通常は自滅作用(アポトーシス)が働きます。がん細胞ではこうした異常や転写ミスを防ぐための防御機能が働かず、異常な細胞であっても増殖が続いてしまうのです。

細胞分裂周期と細胞分裂
原発巣から離脱したがん細胞は遠隔転移

またがん細胞は糖の使用が非常に多く、糖を求めて活発な血管新生を行うため周囲に浸潤していきます。通常細胞は個々に機能を持って働くので、違う場所で単体生存はできませんが、がん細胞は増殖だけを考えるため新天地を求めて遠隔転移を起こし、そこでも増殖していきます。

全身性疾患に進行する遠隔転移がん

転移でも「限局転移」と考えられるがんと「遠隔転移」と考えられるがんとに分かれます。

限局転移は最初に見つけられた原発巣付近に転移するもので、がん細胞がそこに留まっており比較的治療しやすい対象となります。

遠隔転移となりますと、血液やリンパの流れでがん細胞が運ばれ他の臓器や器官に移動し、がん細胞が増殖しはじめます。

最初に見つけられた原発巣より離れた遠隔部位に転移するもので、見つかればすでにがん細胞が全身に運ばれていると考えなくてはなりません。外科手術では完治できる治療効果が望めないと判断し、抗がん剤治療や放射線療法による全身治療へと移行し、場合によっては緩和ケアを勧められるケースもあります。5年相対がん生存率 臨床進行度別グラフでも明らかで遠隔転移になりますと極端に生存率が低くなります。

遠隔転移がんを防ぐことが、がん治療において重要と考えられます。

臨床進行度別、5年相対生存率

引用文献:
全国がん罹患モニタリング集計 2006-2008年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2016)
独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書

がん部位別、羅漢・死亡数・死亡率、男女計

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

再発・転移・新たな発生を食い止める

がん細胞は「無限増殖」というある意味では「不死」の性質をもっており、治療という「攻撃」の隙間を自ら変化していき、非常に強い難治性を発揮し簡単には消滅しません。いったん治療に区切りがついた場合でも、そこで「がん」への対策は終わりではありません。

残存したがん細胞は難治性のがんとして変化

がん遺伝子治療は三大標準治療との相乗効果と、正常細胞に影響なくがん細胞にのみ効果を表すため副作用がほとんどありません。さらにどこに存在するかわからない全身のがん細胞にも遺伝子レベルで作用するため、再発予防として考えられる治療法のひとつです。

さらに遺伝子治療と免疫療法を組み合わせると、免疫のがん細胞に対する感作力が高まるため、再発を防ぐことに期待できます。